「薄毛は遺伝だから仕方ない」
これ、よく聞く話じゃないですか。
僕も薄毛になってきたとき、真っ先に思ったのは「うちの家系のせいか」でした。で、よく考えたら親戚の顔が頭に浮かんできて。「あ、確かにそうかも…」ってなったり(笑)
気になったので、ちゃんと調べてみました。
遺伝するって本当?
先に結論を書くと、遺伝は関係あるみたいです。ただ、「絶対に遺伝する」わけじゃないし、「遺伝しかない」わけでもないらしい。
AGAは複数の遺伝子が関係していると言われていて、どれかひとつの遺伝子で決まるわけじゃないみたいです。生活習慣や環境も関わってくる、と。
つまり、遺伝は「なりやすさ」を決めるものであって、運命が確定するわけではない。ここが大事なところだなと思いました。
遺伝子は複数関わっているらしい
調べていて、へ〜となったのがここです。
AGAに関わる代表的な遺伝子は、大きく2種類あるみたいで。
ひとつは、アンドロゲン受容体(男性ホルモンを受け取る側)の感受性を決める遺伝子。DHTという原因物質に、どれくらい敏感に反応するかを決めるところですね。
もうひとつは、5αリダクターゼという酵素の活性度を決める遺伝子。テストステロンをDHTに変換する酵素で、これがよく働くほどDHTが作られやすくなる、と。
受け取る側の感度と、作る側の量。この2つがそろって影響してくる、という話でした。だから「この遺伝子ひとつでハゲが決まる」みたいな単純な話ではないんだなと。
「母方の祖父を見ればわかる」という話もよく聞きますけど、これは半分正解で半分不正確です。アンドロゲン受容体の遺伝子は母方由来ですが、5αリダクターゼのほうは父方からも受け継ぎます。片方だけ見て安心も落胆もできない、という理屈と、兄弟でも差が出る仕組みは、うちの家系の実例に詳しく書いたので、気になる人はそちらをどうぞ。
僕の家系を振り返ってみた
で、自分の家系はどうか。
うちは、薄毛の人が多いです(笑)
父方の祖父は薄かった。父も薄め。母方の祖父も、写真で見る限りそれなりに。
「あ、これは両方から来てるやつだ」って思いました。完全に当たりくじ引いてる(笑)
母方からは受容体の感度、父方からは酵素の活性。両方の家系に薄毛がいるということは、両方そろっている可能性があるわけで。自分の20代後半での気づきの早さも、まあ納得だなと。
変えられないもの、変えられるもの
ここまでの話を、いったん整理しておきます。
| 要因 | 変えられるか | できること |
|---|---|---|
| 受け継いだ遺伝子(アンドロゲン受容体・5αリダクターゼ) | 変えられない | 早めに治療で進行を抑える |
| 生活習慣(睡眠・食事・喫煙・ストレスなど) | 変えられる | 発症・進行を後押しする要因を減らす |
遺伝子はもう決まっていて、いじりようがありません。でも、生活習慣は今日からでも動かせる。ここを分けて考えられるようになったのが、僕にとっては大きな変化でした。
遺伝があっても、対策はできる
ただ、家系を確認して落ち込んだかというと、そうでもなくて。
むしろ逆でした。「遺伝的にリスクがあるなら、早めに動いたほうがいいじゃないか」と。
「遺伝だから仕方ない」って言う人がいますけど、僕はそこに同意できないです。
遺伝的にリスクがあっても、治療で進行を抑えることはできる。実際、僕は長年それをやってきました。何もしていなかったら、今ごろどうなっていたか。想像するとゾッとします。
遺伝はスタートラインが不利なだけで、そこからどう走るかは自分次第かなと思っています。
それと、調べていて安心した部分もありました。
遺伝が土台にあるとしても、ストレスや睡眠不足、食生活の乱れ、喫煙といった生活習慣が、発症や進行を後押しするケースも多いらしいんです。
逆に言えば、生活習慣は自分で変えられる部分ということで。
僕はタバコをやめて、食事を見直して、体重も落としました。それでAGAそのものが止まるわけではないけれど、後押しする要因を減らすことはできる。遺伝という動かせないものに対して、動かせるところを動かす。そういう考え方をするようになりました。
遺伝を言い訳にして何もしないのは、いちばんもったいない選択肢だなと。
子どもへの遺伝が、地味に気になる
これは親になってから出てきた気持ちなんですけど。
自分のことより、子どものほうが気になる瞬間があります。
自分が両方の家系から受け継いでいるなら、それは下の世代にも渡っていくわけで。将来この子も同じことで悩むのかな、と考えると、なんとも言えない気持ちになります。
ただ、調べたことを踏まえると、必ずそうなるわけでもない。受け継ぐかどうかは確率の話だし、生活習慣や環境も関わってくる。それに、僕が悩みはじめた頃と違って、今は治療の選択肢がずっと増えています。
だから、もし将来そうなったとしても、「父さんも長いことやってるよ」と言えるくらいでいいのかなと。隠すより、普通に話せる関係のほうが、たぶん本人はラクなので。
自分が先に道をならしておく。そう考えると、記録を残していることにも少し意味があるなと感じています。
調べていて知ったんですけど、AGAの遺伝的なリスクを調べる遺伝子検査というものもあるみたいです。
アンドロゲン受容体の感受性などを調べて、なりやすい体質かどうかを見る、という趣旨のものですね。クリニックで受けられるところもあるようです。
僕は受けたことがありません。というのも、すでに発症して治療しているので、今さら調べる意味があまりないというか。
ただ、まだ発症していなくて「家系的に不安なんだよな」という人には、判断材料のひとつになるのかもしれません。
とはいえ、検査してリスクが高いとわかったところで、やることは結局「早めに手を打つ」で同じかなとも思います。そこは、気になるかどうかで決めればいい話かなと。
ここまで調べてきて、僕なりの結論はこうです。
遺伝そのものは、どうやっても変えられません。親も祖父も選べないので。
でも、その情報をどう扱うかは選べます。
「うちの家系だから無理だ」と諦める材料にするのか、「リスクが高いなら早く動こう」という燃料にするのか。同じ事実から、真逆の行動が出てくる。
僕は後者を選びました。そして、その選択は間違っていなかったと感じています。
家系のせいにしている間は、状況は何も変わらないので。動き出した瞬間から、やっと変わりはじめる。それだけの話かなと。
最後にもうひとつ。
「隔世遺伝」という言葉、なんとなく不吉に聞こえませんか。一代飛ばして必ず来る、みたいなイメージがあって。
でも調べた感じだと、これも「そういう仕組みがあるから、母方の祖父の影響が出やすい」という話であって、確定した運命という意味ではないみたいです。
実際、母方の祖父が薄毛でも発症しない人はいるし、家系に誰もいないのに進む人もいる。遺伝はあくまで確率と体質の話で、100か0かではない。
なので、家系図とにらめっこして一喜一憂しても、あまり意味がないなと思うようになりました。大事なのは、今の自分の頭がどうなっているか。そこだけかなと。
言葉の響きに振り回されるより、鏡と写真で現実を見るほうが、よっぽど役に立ちます。
家系を見て「やっぱりか」と思った人へ
親戚の顔を思い浮かべて「うちの家系だしな」と思っている人、けっこういると思います。
その直感は、たぶん当たっています。家系に薄毛が多いなら、関連する遺伝的な要因を受け継いでいる可能性はある。
でも、そこで止まってほしくないんです。
遺伝がわかったということは、リスクを早い段階で知れたということでもある。むしろ有利な情報じゃないかと。知らないまま進行させるより、ずっといい。
「仕方ない」で終わらせるのは、本当にもったいないです。動けば変えられる部分があるので。
気になっている人は、家系のせいにする前に、早めに動いたほうがいいと思います。僕は気づいてから動くまでに、少し時間がかかった側なので。
家系のせいにして諦めるか、家系を知ったうえで動くか。同じ情報でも、その先が変わってくるなと思っています。

