AGAの治療を始めるとき、最初の診察で何を聞かれるのか。
始める前の僕は、そこがまったく想像できませんでした。細かく問診されるのか、写真を撮られるのか、何を準備していけばいいのか。わからないから、余計に足が重くなる。
実際に行ってみたら、拍子抜けするくらいあっさりでした。
AGA専門じゃなくて、皮膚科だった
まず、僕が行ったのはAGA専門のクリニックではありません。
もともと肌のことで通っていた、近所の皮膚科です。
当時は今ほど選択肢がありませんでした。専門クリニックを探すという発想自体が、僕の中になかったんです。知っている先生がいるところに行った。それだけの理由でした。
あとから調べてわかったんですけど、AGAの薬は皮膚科で処方してもらえる場合があります。専門のクリニックでなければ始められない、というものではないんですね。
ただ、どこの皮膚科でも扱っているわけではないので、そこは事前に確認したほうがいいと思います。僕はたまたま出してもらえるところに通っていた。運が良かった部分は大きいです。
「専門じゃないと診てもらえないのかな」と思って足踏みしている人がいたら、まず近くの皮膚科に電話して聞いてみる、という手もあります。
聞かれたのは「不安なことある?」くらい
かなり身構えて行きました。
問診票をびっしり書かされて、頭を細かく調べられて、そのうえで治療方針の説明がある。そういうものだと思っていたので。
待っている間、頭の中で質問の答えを用意していました。いつから気になり始めたか、家族に薄毛の人はいるか。そのあたりは必ず聞かれるはずだと。
実際は違いました。
頭を見てもらって、AGAだという話になって。そのあと聞かれたのは、これくらいです。
「不安なことある?」
以上でした。
カウンセリングらしいカウンセリングは、なかったです。時間にしたら本当に短かった。
用意していった答えは、ほとんど使わずじまいでした。
拍子抜けしたのを覚えています。あんなに緊張していたのに、と。
もちろん、これは僕が行ったところの話です。専門クリニックなら、もっと時間をかけて説明があると思います。ただ、少なくとも「重い儀式」みたいなものを想像しなくていい場合もある、というのは知っておいていいところかなと。
気にしていたのは、金額と副作用
で、その「不安なこと」ですけど。
僕が気にしていたのは、たった2つでした。
ひとつは金額です。毎月かかるものだと知っていたので、続けられるのかどうか。始めてすぐやめることになったら意味がない、と思っていました。
もうひとつが副作用です。
始める前に調べていて、性機能に関する副作用の話を見かけていました。数字で見ればごく一部の話なんですけど、その一部に自分が入る可能性を考えると、やっぱり気になる。あとから数字をちゃんと調べたときのことは、副作用を調べたときの記録のほうに書きました。
この2つを先生に聞きました。
聞けば、答えは返ってきます。聞かなければ、そのまま終わる。そういう感じでした。向こうから順番に説明してくれるタイプの診察ではなかった、ということかもしれません。
逆に言うと、それ以外は何も聞いていません。今思えば、聞くことは他にもあったはずなんですけど。
でも、抜け毛が止まるならどうでもよかった
聞いておいて何なんですけど。
あのとき、心の底ではこう思っていました。
抜け毛が止まるなら、そんなことを言っている場合じゃない。
毎日排水口を見て青ざめて、鏡を見るたびにヘコんでいた時期です。目の前で減っていくものがあるのに、まだ起きてもいない副作用の心配をしている場合か、と。
金額も同じでした。払えないなら考えるけど、払える範囲なら払う。それより止めたい。実際にいくらかかってきたかを数えたのは、ずっとあとになってからです(かかった費用を計算した記録)。
今まさに減っているものと、これから起きるかもしれないもの。天秤にかけたら、前者のほうが重かった。当時の僕にとっては、それだけのことでした。
この勢いは、良くも悪くもだったなと今は思います。
動けたのは良かった。ずっと迷っていた人間が、あの日にようやく動いたので。ただ、聞くべきことを聞かないまま始めたのも事実です。
先生も、自分で飲んでいた
決め手になったのは、先生の一言でした。
先生自身も、同じように薬を使って治療していたんです。
聞いてみたら、特に困ったことは起きていない、という話でした。
それを聞いて、「じゃあ、やってみるか」となった。あっさり決まりました。
ただ、先生が使っているから安全、という話ではありません。体質は人それぞれなので、誰かが平気だったことが自分にも当てはまるとは限らない。そこを一緒にするのは違うなと思っています。
あのとき僕の背中を押したのは、医学的な根拠ではありません。目の前の人が同じ立場だった、という事実だけです。
それでも、動けなかった僕には効きました。判断材料としては弱くても、きっかけとしては十分だった。そういうことなんだと思います。
本やネットで読む情報は、どこまでいっても他人事に見えるんです。数字を並べられても、自分の身に置き換えられない。
でも、いま自分の頭を見ている人が、同じことをやっている。その距離の近さが効いたんだと思います。
今も同じところに通っている
そこから、ずっと同じ皮膚科です。
途中で薬の種類は変わりましたけど、通う場所は変えていません。
今はオンラインという選択肢もありますし、便利だとは思っています。それでも変えていないのは、経緯を全部知ってくれている人がいるからで。そのあたりの考えは、通院の形を選んだ記録にまとめました。
最後に、振り返って「初診で聞いておけばよかった」と思うことを並べておきます。断定できる立場ではないので、僕の場合はこうだった、という程度に読んでもらえたらと思います。
| 聞いておくといいこと | 僕の場合 |
|---|---|
| 月にいくらかかるか(薬代と診察料の内訳) | 総額だけ聞いて、内訳は聞かなかった |
| 血液検査があるか。費用は別か | 聞いていない。あとになって知った |
| 次はいつ行けばいいか | その場で確認しなかった |
| 薬が合わなかったとき、どうするか | 聞いていない |
| 飲み忘れたときの対処 | 自分で調べた |

特に、飲み忘れの対処は最初に聞いておけばよかったです。あとから調べて知りましたけど、それまではずっと落ち着かなかったので。
内訳を聞かなかったのも、あとから効いてきました。総額しか把握していないと、高いのか安いのかの判断がつかないんです。
血液検査のことも、あとになって知りました。飲む薬によっては、肝機能を見るために検査をすることがあるそうです。行く前に知っていれば、もう少し落ち着いて座っていられた気がします。
こういうのは、聞けば教えてもらえることばかりです。聞かなかったのは、僕が緊張していて頭が回らなかったからで。だから、あらかじめメモしていくくらいでちょうどいいと思います。
初診は、たぶん思っているより軽いです。少なくとも僕の場合は、身構えていた時間のほうが、当日かかった時間よりずっと長かった。
悩んでいた期間と比べたら、あの日は一瞬でした。

