AGA治療を長年続けてきました。
途中でやめたことは、基本的にありません。淡々と、毎日薬を飲んで、生活を気にして、それを積み重ねてきただけ。
で、たまに思うんです。「これ、続けててよかったな」って。
劇的な瞬間じゃないんです。地味なんです。日常のふとしたときに、じわっとくる。今日は、その小さな手応えを、本音も交えて書いてみます。
子どもの前で、かっこよくいたい
一番大きいのは、これかもしれません。
子どもの前では、かっこいい父親でいたい。
たいそうな話じゃなくて、ただ単純に、子どもに「お父さんかっこいい」と思っててほしい。薄毛でヘコんでる背中より、髪のことで胸を張れてる姿を見せたい。それだけです。
子どもって、けっこう素直じゃないですか。頭のことも、たぶん普通に見てる。だからこそ、自分がそこに引け目を感じてないでいたい。
治療を続けてなかったら、今ごろどうなってたか。子どもの前で、鏡を見るたびに落ち込むお父さんになってたかもしれない。そう考えると、続けてきてよかったなと、しみじみ思います。
これは、独身の頃には持ってなかった感覚です。守りたいものができると、続ける理由も変わってきます。
始めるのが遅かったら、と思うとゾッとする
続けてきた今だからこそ、たまに想像してしまうことがあって。
もし、あのとき始めてなかったら。もっと動くのが遅かったら。
これを考えると、ゾッとします。
AGAは進行型なので、放っておいた時間はそのまま差になる。僕が「まだ大丈夫」と先延ばしにして、動かないままでいたら。今ごろ全然ちがう状態になってた可能性が高い。
排水溝を見るたびに青ざめて、写真の角度に一喜一憂して、それをずっと続けてた自分。想像するだけで、背筋が寒くなります。
あのとき、恥ずかしさを乗り越えて一歩踏み出した自分を、今は本気で褒めたい。ギリギリ間に合ったな、という感覚です。
続けてきた安心感の裏側には、いつもこの「動いてなかったら」というゾッとする想像がある。だから、やめようとは思いません。
長期のデータを見て、ちょっと安心した
長く続けていると、「この先も効き続けるのかな」という不安がよぎることがあります。
気になって調べたら、こういう研究がありました。
フィナステリドを長く飲み続けた人を追った報告で、多くの人に改善や進行の予防が認められたそうです。
99%。ほぼ全員じゃないですか!
もっと短い期間の試験でも、同じような傾向が確認されている、という記述もありました。ただ、元の研究にたどり着けなかったので、数字は書きません。
そして、耐性はつかないとされている、と。抗菌薬みたいに「体が慣れて効かなくなる」ということは、長期データでは確認されていないそうです。
これを読んで、けっこう安心しました。長く飲んでいると、なんとなく「そのうち効かなくなるんじゃ」と心配になるので。
早く始めた人ほど、伸びしろが大きかった
同じ研究で、もうひとつ気になる結果がありました。
初診のときの進行度が軽かった人ほど、大きな改善を示した、というものです。
ハミルトン・ノーウッド分類でI型・II型・III型、つまり初期段階だった人のグループが、他より改善幅が大きかった、と。
やっぱりそうか、と思いました。早く始めるほど有利、というのは、感覚論じゃなくてデータにも出ているわけで。
僕は20代後半で始めました。当時は「もう遅い」と思っていましたけど、全体で見れば早いほうだった。あの判断が、今の状態につながっているんだなと。
今悩んでいる人には、この数字を知ってほしいなと思います。「今が一番早い」というのは、けっこう本当なので。
金銭的にはきつい。でも、安心感がデカい
お金は、きついです。
毎月かかるし、長年続ければ総額はそれなりの金額になる(かかった総額を数えた記録)。安いとは口が裂けても言えません。
家計を考えると、「この出費、なくせたらな」と思う瞬間はあります。何度もありました。
でも、それでも払い続けているのは、安心感のほうが上回るからです。
何もしていなかった頃の、あの毎日の不安。排水溝を見るのがこわい、鏡を避ける、写真に写りたくない。あの状態に戻るくらいなら、月々の出費のほうがずっとマシだなと。
お金で不安を減らしている、という言い方もできるかもしれません。それが割に合うかどうかは人によりますけど、僕にとっては合っていました。
生活が丸ごと変わったのも、続けたから
もうひとつ、地味だけど大きかったことがあります。
髪をきっかけに、生活が丸ごと変わったこと。
タバコをやめたのが、その始まりでした(タバコをやめた日からの記録)。
タバコをやめて、食事を見直して、10キロ以上痩せて。全部、髪のために始めたことです。
でも結果として、体調まで良くなりました。健康診断の数値も、あの頃よりずっとマシです。
髪だけを守るつもりが、体まで守ることになった。これは完全に予想外のオマケでした。
たぶん、治療を続けていなければ、生活を見直そうとも思わなかったはずで。「髪のためなら」という動機がなかったら、タバコもやめていなかった気がします。
そう考えると、あの一歩は髪だけの話じゃなかったなと。人生のいろんなところに、じわじわ効いています。
手応えは、地味な瞬間に来る
続けてよかったと思う瞬間って、劇的なものじゃないんです。
美容室で「あれ、増えました?」と言われたとき。家族に「抜け毛減ったね」と言われたとき。写真を見返して「あの頃よりマシだな」と思えたとき。
どれも、通りすがりの小さな出来事です。ドラマチックなことは何もない。
でも、こういう地味な瞬間が、長年のあいだにポツポツと積み重なる。それが「やめなくてよかった」につながっている気がします。
劇的な成果を期待して始めると、たぶん途中でしんどくなる。そうじゃなくて、小さい手応えを拾いながら淡々と続ける。そのほうが、長く持ちます。
続けるか迷ってる人へ
もし今、「続ける意味あるのかな」と迷っている人がいたら。
数字の面では、長く続けた人の多くが進行を抑えられている、というデータがあります。効かなくなるという心配も、今のところ根拠は薄い。
そして、始めるのが早いほど結果は出やすい。これも同じ研究に出ていることです。
ただ、こういう数字より効くのは、たぶん日常の小さな実感のほうです。
「あの頃より不安が減ったな」とか「鏡を見ても平気だな」とか。そういう地味な変化を拾えるようになると、続けるのが苦じゃなくなります。
費用がきついなら、そこも相談していい部分です。プランの見直しやジェネリックという手もあるので、「高いからやめる」の前にできることがあるかもしれません。
僕は今日も、なんとなく薬を飲んでいます。劇的なことは何も起きていません。
でも、子どもの前で胸を張れて、鏡も普通に見られて、排水溝にビクビクしない。それだけで、続けてきた意味はあったなと思っています。
最後にひとつ。
「続けてよかった」と思える瞬間って、実は何かが起きたときじゃないんです。
何も起きていない、平穏な日常のなかでふと感じる。あ、今日も特に髪のこと考えてなかったな、と気づいたときとか。
悩んでいた頃は、毎日どこかで頭のことを考えていました。今は、考えない日がある。
その「考えない時間」が増えたことこそ、一番の成果かもしれません。地味すぎて誰にも伝わらないですけど、本人にとってはかなり大きい変化です。

