僕、治療を「やめた」ことは一度もありません。長年、ずっと続けてきました。
ただ、一度だけ。どうしても半月ほど、薬を空けた時期があって。
あれは「やめた」というより「一時中断」なんですけど。あのときの落ち着かなさは、今でも忘れられません。
やめたらどうなるか気になってる人、けっこういると思うので。
基本、僕はやめたことがない
僕は、続けることだけはやってきた人間です。
劇的な努力じゃなくて、ただ毎晩淡々と飲んできただけ。それを長年。
途中でやめようと思ったことも、そんなになかった。習慣になっちゃえば、歯磨きと同じなんです。やらないと気持ち悪い、くらいの感覚で続けてきました。
なので、僕のスタンスは基本「やめない」。これはずっと変わってません。
ただ、人生って、自分の意思だけじゃどうにもならない時期があるじゃないですか。
一度だけ、半月止めた時期があった
それが、あるとき来たんです。
家庭の事情で、どうしても一時的に薬を止めないといけないタイミングがあって。詳しくは伏せますけど、まあ、人生いろいろあります。自分の薄毛とは別の次元で、優先しなきゃいけないことが出てくる時期、というか。
で、半月ほど、薬を空けることになりました。
止めること自体は納得してたんです。必要があってのことだったので。頭では「半月くらい大丈夫だろう」と思ってた。
思ってたんですけど。
実際に止めてみると、これがもう、心が落ち着かなくて。
抜け毛が増えそうで、ずっとソワソワしてた
止めた初日から、もう気になってるんです。
お風呂で頭を洗うたびに、排水口を凝視する。枕に落ちてる毛の本数を、無意識に数えてる。「今日は多い気がする」「いや気のせいか」を、毎日ひとりでやってる。
薄毛を気にしてる人間って、抜け毛のセンサーが異常に敏感なんです。普段の治療中ですらビクビクしてるのに、薬を止めてる状態だと、その感度が倍になる。
「このまま一気に進んだらどうしよう」「半月で取り返しのつかないことになったら」
そんな考えが、ずっと頭の片隅にあって。日中ふとした瞬間に、頭に手をやってる自分がいました。
長年かけて守ってきたものが、止めてる間にこぼれていくんじゃないか。その不安が、地味にずっと続きました。
調べたら、不安は気のせいじゃなかった
あとから調べて、けっこうゾッとしたことがあります。
フィナステリドの場合、服用をやめると血中濃度は半減期およそ6〜8時間で下がっていく。そして臨床データでは、中止からおよそ14日で血清のDHT値がほぼ投薬前の水準に戻る、と書かれていました。
14日。ちょうど、僕が空けた期間と同じくらいです。
えっ、2週間でもう元に戻るのか。
つまり、あの半月のあいだに、頭皮のホルモン環境は治療開始前の状態に近づいていたことになる。僕がソワソワしていたのは、気のせいでも神経質でもなかったわけです。
この半減期の短さが、デュタステリドとの大きな違いです。数日飲まないだけで、薬の効果はかなり早く体から抜けていってしまう、ということですね。
思っていた以上に、短い期間で戻るんですね。「1日くらい平気」と「2週間空ける」は、まったく別の話なんだなと。
デュタは、少し事情が違うらしい
ただ、ここは正確に書いておきます。
僕が飲んでいるデュタステリドは、半減期が約3〜5週間と、フィナステリドよりずっと長いそうです。
なので、半月止めた程度なら、体内にはまだ薬効が残っていた可能性が高い。フィナステリドほど急激には戻らないはずで。
実際、僕の場合も抜け毛は少し増えた気がしましたけど、劇的に何かが起きたわけではありませんでした。今思えば、デュタの半減期の長さに助けられた部分もあるのかもしれません。
ただし、ここで油断してはいけない、とも書かれていました。半減期が長い=やめても大丈夫、ではない。最終的には進行が再開するので、と。
薬によって戻るスピードが違う。でも、いずれ戻るという結論は同じ。そういうことみたいです。
数字が何回も出てきたので、一度整理しておきます。
| 薬 | 半減期の目安 | 中断後の変化の目安 |
|---|---|---|
| フィナステリド | 約6〜8時間 | 中止からおよそ14日でDHT値がほぼ投薬前の水準に戻る |
| デュタステリド | 約3〜5週間 | フィナステリドよりゆっくり戻る。ただし最終的には同様に進行が再開する |
| (参考)完全に中止した場合 | ― | 3〜6ヶ月ほどで抜け毛が増加しはじめ、半年〜1年で治療前の状態に戻るとされる |
半減期が短いほうが、良くも悪くも「変化が早い」薬だということが、こうして並べるとよくわかります。
実際、抜け毛は少し増えた気がした
で、僕の体感の話です。
半月のあいだ、抜け毛が明らかに倍になった、みたいな劇的な変化はありませんでした。
ただ、「ちょっと増えたかな」という感覚はあった。気のせいの範囲かもしれないし、そうじゃないかもしれない。そこは判断がつきません。
不安な状態で見ていると、実際より悪く見えるものなので。そこは差し引いて考える必要があります。
ただ、ひとつはっきり言えるのは。あの半月の精神的な落ち着かなさは、確実に本物だったということ。
髪が減ったかどうかより、「守れていない」という感覚のほうがしんどかった。あれは、経験してみないとわからない部分でした。
再開してよかった、と心から思った
半月が過ぎて、事情が落ち着いて、また薬を飲めるようになったとき。
めちゃくちゃホッとしました。
「これで、また守れる」と。あの安心感は、飲み始めた頃には感じたことのないものでした。
一度失いかけると、あるもののありがたみがわかる。そういう単純な話なんですけど、身にしみました。
それ以来、僕の中で「やめる」という選択肢は完全に消えました。半月であの落ち着かなさなら、ずっとやめたらどうなるか。考えるまでもないので。
ちなみに、長期間中断してから再開する場合は、以前と同じ効果が得られるとは限らない、とも書かれていました。ホルモンバランスや頭皮の状態が変わっている可能性があるので、再開時は自己判断せず医師に相談を、と。
僕は短期間だったので問題ありませんでしたけど、長く空けた人はそのへんも確認したほうがよさそうです。
自分は半月で済みましたけど、完全にやめた場合はどうなるのか。気になって調べました。
中止すると、3〜6ヶ月程度で再びDHTの影響により抜け毛が増加する。そして一般的に、半年から1年で治療前の状態に戻るとされている、と。
ミノキシジルについても書かれていて。こちらはDHTとは別の経路で働く薬なので、使用をやめると増えた毛を維持する力が失われて、数ヶ月以内に抜け毛が増えていく、と。
つまり、どっちの薬も、やめれば数ヶ月から1年で元通り。
これ、けっこう残酷な話だなと思いました。何年かけて守ってきても、やめれば1年くらいで振り出しに戻る。
逆に言えば、続けているあいだはちゃんと守れているということでもあるんですけど。
積み上げるのに何年、崩れるのに1年。この非対称性を知ってしまうと、やめる気にはなれません。
事情があって止める人へ
最後に、これから同じ状況になる人がいるかもしれないので。
人生には、髪より優先すべきことが出てくる時期があります。それは仕方ないことです。
そういうときに「やめたら終わりだ」と思い詰める必要はないと思います。僕も半月空けましたけど、その後また続けられているので。
ただ、いくつか押さえておいたほうがいいことがあります。
まず、自己判断で止めないこと。事情があるにしても、まず先生に伝える。止めていい期間や、再開のタイミングを一緒に決めてもらったほうが安心です。
次に、止めるなら期間を決めること。「とりあえず休む」だと、そのままフェードアウトしがちなので。
そして、再開するときも自己判断せず、状況を伝えて相談する。
髪のことは大事です。でも、それより優先すべきものがある時期もある。そこで無理に自分を責めなくていい。落ち着いたら、また戻ればいいので。
僕は今日も、いつも通り薬を飲んでいます。あの半月があったから、この当たり前がありがたく感じます。
最後にひとつ。
あの半月で学んだのは、髪のことじゃなくて自分のことでした。
僕は思っていた以上に、この治療に精神的な支えをもらっていたんだなと。薬を飲むという行為そのものが、「大丈夫、手は打ってる」という安心の土台になっていた。
だから止めた瞬間、髪より先に気持ちのほうが不安定になった。
続けることは、髪を守る行為であると同時に、自分の心を守る行為でもあったんですね。それに気づけたのは、皮肉ですけど、あの半月のおかげです。

